天下を治めるのは、型破りな行動を引き起こす「覇気と気迫」か? それとも、感情を抑え、礼式を尊び、格式を重んじる「品位」か? 歴史上の謀反事件としても名高い「本能寺の変」に題材をとったこの小説は、個々の事件における信長と光秀両者の内面を浮き彫りにし、主従の心の葛藤を鮮やかに描き出した。なぜ、忠臣は天才的主君を討ったのか。初の独白形式で迫る歴史巨編!
「光秀はただの人じゃ、所詮、ただの人じゃ」とつぶやく信長と、「信長様は、過去の功績も人事の情もお感じにならないらしい。人を金銭道具と同様に、ただその日のその時の役立ちだけで見られるお方なのだ」と嘆く光秀。摩訶不思議な人間の心情が交互に錯綜し、ストーリーはいよいよクライマックスへ・・・・・。主を倒せは、はたして天下がとれるのか。永遠の課題の答えは史実のなかにある。
時代:1582年(天正十年)
著者:堺屋太一
出版:PHP文庫
発行:1993年5月
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